帰郷シリーズ 11 消息 〜故郷に二色編〜

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 相嶋公爵から手紙もらったよ、ほら。お前の親父だろ? なんかあったの?

 え、親父から? お前、うちの親父と話す暇なんかあったっけ。

 なかった。挨拶しかしてないし、目があった覚えもないんだよな、正直な話。

 だよなー……ちょっと見せて。

 ほらそこ、『今度はゆっくりしていってくれ』ってさ。

 へぇー。めずらしいな、親父が他人に興味持つの。

 そうなのか?

 あぁ。人間のことを『ご機嫌取りというメンテナンスが必要な道具』だとか思ってるフシがあるからな。

 なんつーか……親子だよなぁ……

 すげー磐佐、こりゃ立派な人間待遇じゃねーか。いつの間に人間に昇格してたんだ?

 俺に聞くなよ。……で、いつ行けばいいんだろうな?

 ……駄目だ。

 はぁ?

 俺が断ってやる。親父に何を吹きこまれるか、分かったもんじゃねーからな。

 おい、横暴だろ! このっ! 返せっ!!

 それよりほら、もう一通手紙あるぞソコ。

 これお前宛ての……あ、これ姉貴からだ、勝手に中身見るぞ。『ぜひまた泊まりに来てくだ』却下。冗談じゃねぇ。

 え? あ、おいそれ、俺宛てなんだろ、なに破ってんだよ!

 お前にゃ必要ねぇよ。

 また泊まりに行っていいの? やった!

 聞こえてたのかよ……って、連れてかねぇからな。

 えーなんでだよー、招待されてんじゃんよー。

 お前こそ、姉貴に俺の弱み聞き出してきそうだからな。

 大丈夫大丈夫、そんなことしねーって。

 だいたい俺の実家は、圧倒的に女が多いんだぞ。『知らない男が、ずかずか泊りに行っちゃマズイ』つったのお前じゃなかったか?

 気のせいだ。それより招待は受けるのが礼儀だろ。

 だったら俺も、お前の親父さんの招待を受けるべきだよなぁ?

 ……くっ……足元見やがって…………ん? あれ、こっちの便箋は俺宛てか?

 なに? まだ封筒に入ってたのか?

 あぁうん、なんか紛れこんで……――



『倫太郎へ お前に同棲するほどの友達がいるとは意外だった。ところでもし、お前がそのような理由で妻を娶らないのであれば、なおのこと改めて挨拶に来るべきかと……――』



 ん? おい相嶋、どっか行くのか?

 ……ちょっと実家に電話して、親父をもう一度どこかの教育機関に放り込むよう、親孝行な進言してくる。


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