「だいぶヒクついてるな……ココも感じるのか」
「やっ……、イチイチ言うなっ……!」
 優しく入り口を撫でるのを、案外大人しく受け入れるのを見て、密かに安堵の息を吐いた。
 何をするのか分かっているとはいえ、直前になって嫌がられる可能性も、頭の片隅にはあった。最初の一度で快感がなければ、嫌悪を抱くようになることもあるという。
 強引に受け入れさせておいて思うことでもないが、自分で自覚していた以上に、気にしていたらしい。
 中指で何度か窄みを柔らかく圧し、僅かに力が抜けるのに乗じて、指を中程まで埋め込んだ。
「んっ……」
「痛むのか?」
「……いやっ、痛くは、……ない……」
 僅かに眉を寄せているのは、違和感をやり過ごそうとしているのだろう。
 痛みがないと聞いてひとまず安堵し、指を緩やかに動かす。同時に揺らめく芯も撫でてやると、再びその先端から溢れ出たものが、とろとろと指先を濡らした。
 芯への刺激で蕾がヒクリと動くのに合わせて、二本目の指を添えて、ゆっくりとそこへ挿しこんだ。
「……っ、……――!」
「痛かったら言えよ」
 指がきつく締め付けられ、息が途切れるのを見て、咄嗟に先程と同じ言葉を繰り返す。荒い呼吸を繰り返してはいるが、磐佐の耳にその声は届いたらしく、口の端が少しだけ持ち上がった。
「ンな、に……気に、して……っ、んだ……」
 痛かったら止めるつもりの相嶋に対し、途中で終わるつもりはないらしい。それに彼の性格上、いまさら痛いと言い出すとは思えない。
 締め付けが緩むのを待って、やわらかく解すように、できるだけ緩やかに抜き差しを繰り返す。同時に空いた手で緩やかに芯を扱くと、先端が震えて蜜が伝い、相手の手が敷布を掴むのが視界に入った。
「まっ……、イき……そ……っ」
「我慢するな」
「ダメ……だろっ……、お前が、まだ……っ」
 快感と羞恥が綯い交ぜになっているのだろう、途切れ途切れの言葉に、下肢がいよいよ張り詰めた。
(ンなの見せられちゃ……もう、無理だって)
 我慢も限界である。加減できる自信もないまま、柔らかく熱い裡から指を抜き、再び窪みへ潤滑剤を垂らした。自身のズボンの前を寛げて相手の膝を大きく開かせ、いきり立つ先端を入り口へ宛がうと、蕾はまるで誘うようにぴたりと吸いつく。
「……いいか」
「こい、よ……」
 聞いたはいいが、いまさら駄目だと言われても引けはしない。限界を感じ取ったのか、帰ってきた返事は途切れがちだが明瞭で、微かに笑みの気配すら滲ませている。
 答えを聞いて相嶋は小さく「……ごめん」と呟き、一気に深く腰を進めた。