「やっ、だから、そういうのはいいって言って……！」
「丁寧に慣らさないと、無理矢理挿れたりしたら、後から辛いだろ」
　無理矢理貫いたのが、他でもない自分であることを、忘れているわけではない。むしろ、だからこそ、できるだけ痛い思いはさせたくない。
　同じ身体を持っていれば、何をどうすれば善くなるのか、しっかり分かっていた。布一枚を隔てて緩やかに撫でると、それが硬さを増すとともに、わずかな抵抗に吐息が混じった。
「っ……そっ、んなことまで、するなってば……っ」
　そういう間にも、布の下でそれが、はっきりと形を表していく。下着をずらして指を絡めると、すでに先端は透明な雫を含み、熱く昂ったものが手にしっとりと吸いついた。
「あっ……おいっ、やめっ！」
　直接の感触に、磐佐が怯んだように上半身を起こしかけた。衣服を剥ぎ取り肩を柔らかく抑えつけ、宥めるように胸の突起を舌で転がす。強めに歯を立てながら、握ったものを壊れ物でも扱うかのように優しく触れていると、すぐに先端からとろりと先走りが指へ伝った。
「……まっ、待てって……言って……っ」
「ここで止めたら男が廃るってのに」
　留めるように両肩を押し返されて、相嶋はしぶしぶ上半身を起こした。
「……でも、こっちがこの反応じゃ、待たれる方がツラくないか」
　先端に円を描くように、ぐりぐりと丸く刺激を与える。呼応するように溢れだすものを、指先で掬いあげて舐めとると、肩を抑えていた指に力が入った。
「……っ！　ンなもんっ……、舐め、んな、って……！」
　その言葉を聞き流しズボンを取り払って、膝を大きく割り開く。ついでに自分のシャツの釦を外して、手早く脱ぎ捨てる。
　硬く反りかえっている先端を口に含むと、磐佐が勢いよく肘を付いて首をもたげた。
「なにして……！」
　同時に肩を掴まれる。向き合うように身体を起こしながら、相嶋がつらつらと考えてみれば、彼は他人に奉仕させる人間ではない。弄ぶように指でその形をなぞりながら、その顔を見てみると、思った通り羞恥と狼狽の色を濃く浮かべている。
「もしかして、マウスされたことないのか？」
「うるせっ……ひ、ぁ……んっ！」
　再びそれを口中に収めると、聞いたことのない、掠れた声が耳に届いた。楽しくなってわざと音を立てながら、浮かんだ筋を舌先でなぞる。押し殺した声が、耳を抜けて背筋を通り、下半身に響く。
「まてっ……、……そんっ、な……っ、ぁっ……！」
　舌の動きに翻弄されるように、声に切なげな吐息が混じる。聞かされる方も、そろそろ限界だ。下肢が下着や衣服を押し上げ、痛いほどに張り詰めている。……とはいえ、もうひと我慢は必要だ。
　顔をあげ、息を吐く間を与えず潤滑油を引き寄せて、ぬるりと掌に滑らせた。
「……っんどは、な、にして……」
「じっくり慣らしてやるから、痛かったら言えよ」
　そう言いながら身体を起こし、割り開かせた膝の間で体勢を整える。そして慣らすように軽く芯を滑らせて、その指を後ろへ動かした。



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