抵抗の力を弱めると、指が引き抜かれたのを感じた。足を開かされると同時に、入り口を熱いものが掠めた。

 しかし解された入り口に宛がわれた先端は、柔らかくそこを擽るばかりで、身構えていた感触はなかなかやってこない。
「遊んで、ないでっ、ヤるならさっさとヤれ、よっ!」
「怒るなよ……俺は、槙にも気持ちよくなって欲しいんだからさ」
 思わず言い捨てると、考えていたより気遣いの滲む伊多の声が聞こえ、芯がゆるりと刺激された。
 先程の余韻の湿りを、再び指に絡め取られる。
「だったら自己中直せ。それに変なコト試すなっ」
 先程の感触を思い出し、震えた身体を起こしかけ、槙は咄嗟に声を上げた。
「悪いっ! 二度とやんないから……挿れて、いいか?」
 心底申し訳なさそうな声に、槙はぐっと言葉に詰まった。
 伊多は素直だ。嫌だと言えば繰り返したりはしないし、嫌いだから変なことをしでかすわけでもない。そうして素直に寄って来られたら、槙は思わず頷いてしまう性質なのである。
「……なら、いい」
 疼く身体に気付かなかったことにして、微かな声で頷くと、伊多の気配がぱっと明るいものに変わった。
「じゃ、痛かったら言えよ……」
 優しい言葉とともに、宛がわれていた先端が、狭いところへゆっくりと挿し込まれた。
「……っ」
 熱いものが身体のうちを抉り、快感の源を直かに刺激される。
 身体が震え、もっと大きな快感をと身体が求めるのを、槙は息を詰まらせじっと耐えた。

「槙のナカ……気持ちイイなっ……」
「はっ……んぁ、んなこ、と……いちいち言う、なっ」
 彼のものが柔らかい場所へ埋め込まれ、自分の体温を感じている。その事実を強調されたようで、槙は思わず顔を隠した。
「本当の、ことだからさ……」
 伊多の手が、表情を隠していた槙の腕を掴んだ。
「っ……! やっ、見んなっ」
 目尻に熱いものが浮かんでいるのを自覚するほど、顔にでた快感を見られたくはなかった。そもそも快感を感じてしまっていること自体、自分で否定してしまいたいのだ。
「槙の感じてる顔、……見せてくれよ、な」
「あ……か、かんじてなんかっ……」
 耳の傍に吹きこまれた瞬間、自分の身体がビクンと反応するのが分かり、顔を隠そうと再び腕を伸ばす。しかし伊多の手に留められ、それも結局叶わない。
「……っ、……感じんのは、悪いことじゃないぞ?」
 その言葉とともに、さらなる快感を引き起こすようにゆっくりと突き上げられた。
「あっ!? や、まっ…」
 柔らかな内壁を擦りあげる感覚に、思わず制止の声が漏れた。
 ――途端本当に、伊多の動きが止まった。
「……待つ、のか?」
「! ぁ……、っ……」
「……いつまで待つんだ?」
 動いた瞬間にその場所がじらされて、すでに奥では快感を待つ炎が、ちらちらと燃えはじめていた。
「……っ、じゃぁ、抜け……」
 そんな場所が気持ちいいなどと、言えるわけがなかった。動いて欲しいだなんて、なおのこと口に出せるわけがない。
 とはいえそれで抜かれるわけもなく、槙の言葉が届いた瞬間、伊多が不満そうな声を上げた。
「えー……! なんでそうなるんだよ」
 同時に再開された動きに、焦らされ快感を待っていた身体に、痺れるような熱が走り抜けた。
「!? なっ、抜けっていっ、や、ぁあっ」
 足が引きつり、身体に力が入らない。
 突き上げられるままに揺さぶられ、漏れる喘ぎを、意味のある言葉に変えるのすら困難だ。
「そっちこそっ、無茶言うなっ……!!」
「っ、難しいことじゃ、ないっ、だろ! ん、あ!」
「俺だって、途中で、止めんのは、ツラいんだぞ……っ」
「ふ、ぁっ、言ってるコト、とやってること、っ、ちがう、だろっ」
 さっき散々途中で止めさせたくせに何を、
 そう思ったが、すぐに律動とともに襲ってきた快感の波にのまれ、
 ……――その後は絶頂までの短い坂道を、反論する隙も与えられず、伊多に押し上げられていくばかりだった。






きなうしさんとのツイログに地の文を足した第二弾
 限 界 で し た (;皿;)。
続きは、あなたの心の中に……――
自分の文章力でいろいろ壊してしまう危険性から、とりあえず以下略とさせていただきました(逃げたともいう)。
うああああぁぁぁぁ誰か文章力売ってくださいいいいぃぃぃぃ……!!
これを書くあいだに、小説とは何かと、表現の比資率と、まぁいろいろ悩んで、結局全部資源ごみに出しました(爆)。
ここの文章シリーズすべてに関してですが、転載はきなうしさんのみ自由とさせてくだs……

いやあの、皆様に焼き土下座する準備はできてます……!