ブログでやってた小話の再録

A「彼シャツって知ってるか?」
I「男の浪漫だろ」
A「そうそうそれそれ。……でさ、『彼フン』はありかって話になってさ」
I「『彼フン』? なんだそりゃ」
A「ものの本によると、『彼フン』のフンは、エフユーのコトである」
I「……間違ってもエフユーはないだろ。腰巻がせいぜいじゃねぇの?」
A「いや、でも結構イケると思うのよ。想像してみろよ。そそられるだろ?」
I「……ダメだ想像できねぇ。あ……いや、でもこないだ、実際あったな」
A「え、何? 彼フンが?」
I「洗濯干してた舫綱が、風で飛んでさ。全員のエフユーが、ごっちゃごちゃに」
A「うわぁ……どっちかっつーと『誰フン』だな……」
I「……うん……実際そうなってたんだけどな……」
A「なんかイヤだなそれ……。でも、分かんないもんか?」
I「何十人もいたからな、ありゃもうダメだったわ」
A「まとめて捨てちまえンなもん!」
I「で、結局適当に分配」
A「配ったのかよ! 記名はなかったのか?」
I「そりゃ大半は書いてたんだけど、無記名も一定数あるもんだよな」
A「だろうな……」
I「で。……ここに一枚のエフユーがあります」
A「……まさかと思うが」
I「……もとは誰のだったんだろうな……」
A「だろうと思ったよ! 捨てろよ!」
I「幼少時の教育ってのは怖いモンで、まだ使えるものを捨てたら、姉貴が夢枕に……」
A「だからって、何に使うんだよソレ」
I「……いるか?」
A「誰のかも分かんないのに、ンなもん欲しいわけないだろ!」
I「だよなぁ……やっぱ使うか」
A「……お前さ、そういうの気にしないのか?」
I「ブラブラしなきゃ、それでいいだろ」
A「一応表なんだから、そういうこと言うな。……じゃぁなにか? 俺のお下がりでも使うのかお前は!」
I「使うけど」
A「なんでだよ。答えに困ること言うなよ」
I「……うん。でもこれは捨てるわ」
A「え? なんで? お姉さんが枕元に立つんじゃないの?」
I「万一これでドリームしたら、俺立ち直れない」
A「だから、一応表なんだから、そういうこと言うなっての!」



以下裏に引き込んでからも続いた蛇足

A 「ここなら誰に憚ることもないな。でさ、話戻してそのエフユーなんだけど」
I 「どんだけ引っ張るんだ、これ」
A 「お前の話だろ、もっとノれよ。で、あのさ……それ本当に使う気か? だいぶ薄くなってないか?」
I 「要は固定できりゃいいだろ。もともと自分のもこんなだし、不都合はないし」
A 「……まさか普段から、そんな薄いの絞めてんのか?」
I 「見たことないわけじゃあるまいし、いまさら何を……」
A 「つったって、明るいトコでまじまじ見たことはない。……よし、いい機会だ。脱げ!」
I 「やめろ! 脱がすな! なんで見る必要があんだよ!」
A 「どの程度透けてるかなと。いたっ、蹴るなってば。それとも見られちゃマズイのか? スタンさせても構わんぞー……よっ、どっこいせと」
I 「言いながら脱がすな! はっ、腹に乗るな……っ、肺が……息が……げふっ」
A 「あぁー……なるほどなー、こうなるわけだ。……剃っていい?」
I 「何がしたいんだテメーはよ! やめろ、どけ、ひっぱんな! 今度は本気で蹴るぞ!!」
A 「んーまぁ剃りゃしないけど……ここまできたら引き下がれないからな。お前が俺を蹴るか、俺のフックがものをいうか、楽しみだなー」
I 「……よし分かった。歯ぁ食いしばれ…………ふんっ!!



進(頂き絵)